ゲンノショウコとアメリカフウロ

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ゲンノショウコって?

ゲンノショウコは、日当たりの良い野山や平地に自生する多年草です。花期は7月~10月で、花が終わった秋頃には、上部にくちばし状の構造、下部に種子が1個ずつ入っている分果をつけた果実をつけます。熟すと下部から5つに裂開し分果を先端に付けて巻き上がり、5つの種子を弾き飛ばします。このように、成熟すると果皮が乾燥し、裂開して種子を落とす(あるいはまく)果実を、蒴果(さくか)と呼びます。

国内全土に生育するゲンノショウコは、昔からお腹をこわしたときの常備薬として全国各地で重宝されてきました。市販の薬品にもその成分が含まれることがあります。

効果が服用後すぐに現れることから、「現証拠(ゲンノショウコ)」という名前が付いたという説があります。

蒴果は熟すと5つに裂開して巻き上がる(撮影・提供:内野秀重氏)

ゲンノショウコとアメリカフウロ

ゲンノショウコはかつて、人里の草地に生え、日本在来のフウロソウの仲間のなかでは最もふつうに見られる植物でした。しかし近年、その数が減少していることが指摘されています。

ゲンノショウコが減っている背景には、農耕地の放棄・削減など、複数の要因が考えられます。また、要因の一つには、近縁な外来種であるアメリカフウロとの競合も挙げられます。

ゲンノショウコは、定期的に草刈りがされる日当たりの良い草地環境を好み、昔ながらの畑や畔の周り、農道の路傍、堤防、土手、林道などが主な生育地です。しかし、ゲンノショウコは繁殖拡大能力があまり高くないため、新しい人工草地へはあまり進出しません。

外来種のアメリカフウロもゲンノショウコと同じく、日当たりの良い低茎草地を好みますが、その一方で非常に適応力が高く、人工的な草地からアスファルトの隙間、駐車場のような場所まで、あらゆる場所に広がる傾向があります。当然、ゲンノショウコが好むような草地にもアメリカフウロは侵入してくるため、生育環境をめぐる競合が生じます。

ゲンノショウコと同じく熟すと裂開する。(Photo by なつえつ)

ゲンノショウコとアメリカフウロの特徴

ゲンノショウコとアメリカフウロはいずれもフウロソウの仲間で、約1㎝ほどの白色や紅紫色の花を咲かせます。

ここでは、そんな2種が好む環境の違いや、見分けるポイントを紹介します。

【好む環境の違い】

ゲンノショウコが好む環境アメリカフウロが好む環境
昔ながらの畑や畔の周り、農道の路傍、堤防、土手、林道などゲンノショウコが好む環境(左)に加えて、人工的な草地、アスファルトの間隙、駐車場など

【見分けるポイント】

ゲンノショウコアメリカフウロ
花の咲く時期
(東京都での傾向)
8月~10月4月~9月
花弁の長さがく片よりわずかに長いがく片と同じかわずかに短い
花の色東京都ではほとんどが白色または紫紅色(中間色はきわめて稀)ピンク色(個体により白っぽいピンク)
花の直径1cm ~ 1.5cm1㎝未満(5㎜~8㎜)
花弁の形倒卵形で先は丸い倒卵形で先はくぼむ
葉の形手のひら状に3裂もしくは5裂基部まで深く5~7烈し、さらに裂片が分裂※ロゼット状の場合切れ込みが浅い個体も存在
果実が見られる時期夏~秋
種子表面は平滑表面に細かな網目模様がある

その他のフウロソウの仲間の見分け方

ゲンノショウコとアメリカフウロを含むフウロソウの仲間には、この2種以外にも可憐な花を咲かせるものが多いですが、多くの場合花の直径や葉の形などを基準に見分けることができます。

ゲンノショウコとアメリカフウロ、どちらでもない?と思ったら、フウロソウの仲間を見分けるポイントをチェック!

※この表に掲載しているのは一般的な特徴のため、東京都での特徴と異なる場合もあります。

アプリ内では、名前判定で種名を決定する画面や、図鑑の画面でも、似ている種との見分け方を確認できます。