東京産植物の標本情報の一部(115,840件、4,179種)を公表!

2025.12.16

東京都では、ネイチャーポジティブの実現に向けて、都内の野生生物情報が一目でわかるデジタル版野生生物目録「東京いきもの台帳」の作成を進めています。

このたび、東京の植物相の解明に向けた第一歩として、植物の標本情報115,840件を公表します。今後は、標本のほか、文献や市民科学調査、専門家調査により情報の蓄積・公表を進めていきます。

東京産植物の標本情報を公表!

標本情報は、「いつ、どこで、どんな植物が生育していたのか」を把握する上での確かな証拠となるため、東京の自然環境の状況を把握するにあたって、特に重要な情報と言えます。

今回は、都内にある複数の施設の情報をもとに、東京に生育していた植物の標本情報の一部である、115,840件、4,179種を公開しています(2025年12月時点)。

確認された中で最も古いものは、1873年に武蔵小河内(現在の奥多摩町)で採集された「シシウド」の標本でした。

東京都野生生物目録「植物」(植物目録) の詳細はこちらをご覧ください。
https://www.inventory.ikimono.metro.tokyo.lg.jp/inventories/plantae

ここがポイント!標本から読み解く東京の過去の自然環境

今では若者文化の発信地であり商業施設が立ち並ぶ渋谷ですが、130年程前は草花が茂るのどかな田園でした。「東京いきもの台帳」にも当時の渋谷で採集された数多くの種類の標本が収録されています。その中には、日当たりの良い湿った草地を好む「レンリソウ」というマメ科の多年草があります。

現在、東京都のレッドリストでは「レンリソウ」は、区部で「絶滅(EX)」と評価されていますが、当時の渋谷には、「レンリソウ」が生育可能な自然環境があったことを示しています。

※ 東京都の保護上重要な野生生物種(本土部)2020年見直し版

専門家からのメッセージ

「東京の植物目録」の公開にあたって植物の専門家で目録の監修者でもある加藤先生(東京都立大学理学研究科 助教)・内野先生(都立大学牧野標本館特任研究員)から、調査団の皆さんにメッセージが届いています!

植物標本目録公開の経緯と現状について(加藤英寿氏)

東京の植物へのこだわり(内野秀重氏)

「東京いきもの台帳」 とは

東京いきもの台帳とは、東京に生息する野生生物のいわば“住民台帳”のようなものです。いつどこに、どんな生物が生息していたのかを、誰でもが簡単に専用WEBサイトで検索し、デジタルマップ上に表示することが可能なシステムです。

アプリ調査による投稿情報をもとにした「市民科学データ」と、過去の研究者の「標本・文献データ」や「観察情報データ」を合わせ、発見時期や位置情報などを結びつけたものです。今後、デジタルの強みを生かし情報を追加することで、台帳を更にアップデートしていきます。

記事内に掲載している標本はすべて東京都立大学牧野標本館所蔵です

東京都 環境局からのプレスリリース(2025年12月16日発行)はこちらをご覧ください。